今年のホワイトデーは、父は母に、新作のバッグをプレゼントすることになっています。母は今から楽しみにしていて、雑誌やタブレットでどのバッグをおねだりしようか検索しています。母の物は娘の私も借りられるわけですから、私も一緒になって母が父におねだりするバッグを探しているのですが、父は背中でその様子を感じながら、心でため息をついていることでしょう。父だってそんなにお小遣いに余裕があるわけではありませんし、窓ガラスの交換費用も負担しなければいけないのですから、かなりの出費です。
父は先日、いつものように庭でゴルフの素振りをしていたのですが、うっかり手を滑らせてゴルフクラブを放り投げ、そのまま窓ガラスを割ってしまいました。ゴルフクラブはそのまま室内の、いつも母が洗濯物を片づけたりしているところまで飛んで行きました。幸い母はその時キッチンに立っていて、室内に入ってきたゴルフクラブからは離れた位置に居ました。そしてその一部始終を、キッチンから目撃していたのです。
窓ガラスが割れてしばらくしてから私が帰宅したのですが、父も母も居る日なのにやけに玄関が寒いと思ったら、リビングは窓ガラスが割れていて、もっと寒くなっていました。ガラス屋さんも今日すぐ来てもらうことはできず、一晩は最寄りのスーパーまでもらいにいった段ボール紙を貼って穴を塞ぎ、なんとか直風が入り込むことだけは阻止しました。
ゴルフの素振りで庭に出入りするため、頻繁にリビングの窓を開け閉めする父のことを、寒がりの母は普段から良く思っていなかったのですが、今回は窓ガラス自体を割ってしまいクラブまで投げ込んだものですから、怒ってもうカンカンです。綺麗に割れたガラスの掃除をして、誠意を持って謝ったくらいでは許してもらえなかったので、私のアドバイスもあり、バッグを買うことになったのです。